ブロックチェーン技術が進化を続ける中、分散型金融（DeFi）は金融の透明性やアクセス性を飛躍的に向上させてきました。しかし、スピード、流動性、そしてユーザー体験の面で依然として課題が残されています。これらの課題を解決し、次世代の金融エコシステムを実現するために登場したのがHyperliquidです。
Hyperliquidは、完全にオンチェーンで動作する革新的なレイヤー1（L1）ブロックチェーンとして、透明性と効率性を両立させつつ、中央集権型取引所（CEX）並みの処理速度と取引体験を提供します。高速なブロック生成と独自の合意形成アルゴリズム「HyperBFT」によって、取引の遅延を最小限に抑え、スムーズで安全な金融取引が実現されています。
さらに、Hyperliquidはただの取引所ではありません。パーペチュアル取引やスポット取引をはじめとする多様な金融商品、柔軟なリスク管理機能、そして開発者のためのエコシステムを備え、DeFiの新しいスタンダードを築いています。
以下では、Hyperliquidの特徴や仕組み、取引機能、そして今後の展望について詳しく解説していきます。
Hyperliquidとは？
Hyperliquidは、従来の分散型金融（DeFi）におけるスピード、透明性、そして流動性の課題を解決するために設計された高性能なレイヤー1（L1）ブロックチェーンです。独自のアーキテクチャと革新的な仕組みを導入し、パーペチュアル取引（無期限先物）をはじめとする金融商品の完全オンチェーン運用を実現しています。
Hyperliquidは、取引の透明性とユーザー体験を重視しつつ、従来の中央集権型取引所（CeFi）にも匹敵する高速処理能力を備えています。すべての注文、清算、流動性提供がブロックチェーン上で実行され、その結果、1秒未満のブロック遅延と毎秒10万件以上の注文処理を可能にしています。
Hyperliquidの仕組み
完全オンチェーンのオーダーブック
Hyperliquidの中核には、完全オンチェーン型のオーダーブックがあります。従来の分散型取引所（DEX）は、オーダーブックや取引処理の一部をオフチェーンに頼ることで速度を確保していましたが、Hyperliquidはすべてをオンチェーンで処理し、透明性を最大化しています。オーダーブックの動作原理は中央集権型取引所（CEX）と類似しており、価格と時間に基づく「価格-時間優先」のマッチングアルゴリズムが採用されています。これにより、ユーザーはスムーズかつ直感的に取引を行うことが可能です。
独自の合意形成アルゴリズム「HyperBFT」
HyperliquidはHyperBFTと呼ばれる独自のコンセンサスアルゴリズムを採用しています。これはHotstuffやその後継技術に触発され、取引の高速処理とブロックの低遅延を両立させるために最適化されています。ブロック生成は1秒未満で行われ、取引の透明性を担保しながらも、中央集権型取引所並みのスピードを実現します。
Hyperliquidの取引機能
パーペチュアル取引（無期限先物）
Hyperliquidは、パーペチュアル取引を中心とした取引所機能を提供します。パーペチュアル取引は従来の先物取引と異なり、期限のないデリバティブ商品です。資産価格の変動に対するポジションを維持するため、1時間ごとのファンディング決済が導入されています。
- サポート資産：100種類以上の資産をサポートし、ユーザーコミュニティの意見に基づき新たな資産を追加予定。
- レバレッジ：最大50倍までのレバレッジが利用可能。例えば、レバレッジ20倍では、維持証拠金は2.5%となります。
Hyperliquidのパーペチュアル契約はUSDCマージニングに基づいており、価格指標はUSDT建てです。これは、ユーザーにとって流動性と利便性の最適なバランスを提供します。
利益確定・損切り注文（TP/SL）
Hyperliquidでは、取引のリスク管理を強化するためにTP/SL注文（Take Profit / Stop Loss）が導入されています。
また、OCO注文（One Cancels Other）機能により、親注文に連動して自動的にTP/SLを設定することもできます。これにより、効率的なリスク管理が可能になります。
手数料体系
Hyperliquidの手数料体系は、透明性とコミュニティ中心の運営を重視しています。
手数料率:
- テイカー手数料：0.025%
- メイカー取引手数料還元：0.002%
手数料収益はすべてコミュニティに還元され、流動性提供者（HLP）やアシスタンスファンドに配分されます。リファラルプログラムも導入されており、紹介者は被紹介者のテイカー手数料の10%を報酬として受け取ることができます。
Builderコード
Builderコードは、Hyperliquid上でアプリケーションを構築する開発者が手数料収益を受け取るための仕組みです。ユーザーはBuilderに手数料の上限を設定し、注文ごとに任意のBuilderコードを追加できます。
最大手数料
- パーペチュアル取引：0.1%
- スポット取引：1%
Builderコードは完全オンチェーンで処理され、透明なデータとして提供されます。これにより、エコシステム全体での開発者の参入を促進しています。
Hyperliquidの利用方法
Hyperliquidへの参加は、EVMウォレット（MetaMaskやWallet Connect対応ウォレット）またはメールアドレスを利用して簡単に行えます。
- ウォレット接続：MetaMaskなどウォレットを設定し、USDCとETHをArbitrumネットワークに用意して接続します。
- 入金：「Deposit」を選択してArbitrumのUSDCをHyperliquid L1にブリッジすることで取引を開始できます。
Hyperliquid EVM
Hyperliquidは、独自のL1ブロックチェーン上にEthereum Virtual Machine（EVM）を統合することで、スマートコントラクトやDeFiアプリケーションを容易に展開できる環境を提供しています。これにより、Ethereum互換のアプリを移植することが可能になり、Hyperliquidエコシステムがさらに拡張されます。
Hyperliquid EVMは現在テストネットで提供されており、初期段階として開発者向けに公開されています。開発者は、JSON-RPCエンドポイントを利用してEVMにアクセスし、スマートコントラクトをデプロイしたり、既存のアプリケーションを移植することができます。
ガストークンとしてHYPEが採用されているのも特徴です。HyperliquidのL1上でHYPEを保有していれば、これをEVMに送ることで取引のガス代として利用できます。
L1データへのアクセス可能なシステムコントラクト
Hyperliquid EVMには、L1のブロック情報や価格データを取得できるシステムコントラクトが提供されています。これにより、スマートコントラクト上でL1の最新情報を反映したアプリケーションを構築できます。
例えば、L1上のブロック番号やオラクル価格をリアルタイムで取得することで、正確で信頼性の高い取引や自動化システムが実現します。
L1とEVMで資産を行き来することが可能
Hyperliquidでは、L1上のネイティブ資産（スポット資産）をEVM上のERC-20トークンにシームレスに転送することができます。これにより、L1とEVM間で資産を行き来させながら、異なる環境で自由に取引や開発を行えます。
特に、HYPEトークンはEVM上ではガス代として機能し、L1とEVMを橋渡しする重要な役割を果たします。
まとめ
Hyperliquidは、革新的な技術基盤と分散化設計により、従来のDEXやCEXの限界を打ち破る次世代の金融エコシステムです。完全オンチェーンでありながら、中央集権型取引所並みのスピードと流動性を提供し、ユーザーと開発者の双方に柔軟で透明なプラットフォームを提供しています。今後の発展とともに、Hyperliquidは真の分散型金融（DeFi）の未来をリードしていくことでしょう。
